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2009年2月

2009年2月28日 (土)

おもわず頭痛がするニュース その6

最近、まじめなネタが多かった(文体はともかく)けど、久々にツボなニュースが!

捜査用ニセ札使われ、警察真っ青 身代金で渡す 韓国 by asahi.com

(*^ー゚)bグッジョブ!!

タイトルだけでも笑えるけど、記事中の

一部メディアは、市場の混乱を恐れ、警察当局が手元の12億ウォン分の「捜査用紙幣」の全面廃棄を決めたと伝えた。

・・・そんなにあるのかよっ!備えあれば憂いなし?( ゚д゚)

まぁ、安っぽいドラマや映画にありがちな、表裏一部だけリアルで中は白紙の札束とかじゃ、先に人質を解放しないと犯人が逆上してエライことになるから、そういう「グッズ」があるのも理解できなくもない。

日本の警察も、こういうの常備してるんでしょうかね?(・∀・)

ちなみに過去ネタです。元記事へのリンクは当該記事が速報系だった場合には消失しているかもしれないですけど、タイトルだけで「頭痛」には十分でしょう。

【その5】揚げ物鍋かけたまま消防職員が出動、出張所ぼや

【その4】談合で受注工事が赤字 地裁、建設会社に賠償命令

【その3】IPA職員がファイル交換ソフトでウイルスに感染、写真など流出

【その2】正義の味方捕まる 茨城ご当地ヒーロー「イバライガー」

【その1】消防器具販売会社から出火、全焼

2009年2月27日 (金)

JASRACが「踏み外した一歩」-放送事業者との包括契約に独占禁止法違反決定-

少し前に「そういう方向の決定がでる」とされていたとおり、公正取引委員会は「JASRACが放送事業者との間で行っている包括契約は独占禁止法違反」として排除命令を出した。

もちろん、JASRACは「承服できーん!」と徹底抗戦の構えだし、放送局等も今後どうするか「要検討」だという。

まったく何も「独占禁止法」というものを考えなかった場合、「実際に使用した曲を全部管理して、1曲毎に利用料を積算するのは放送局もJASRACも面倒だから、放送局の収入に対して一定の率で使い放題」という包括契約は「合理的」だし、たとえばいくつかの動画サイトが契約している包括契約と、どう違うんだ?とも感じてしまう。

しかし、実は独占禁止法においては、「強者と弱者がまったく同じ仕組みをやると、強者が圧倒的に優位」であるような行為そのものについて、強者だけが「アウト」になるのがミソ。

たとえば、市場において強者である(モノにもよるが、60%とか70%とかシェアを持っていれば強者であろう) A社の商品A1とA2がある。弱者B社の商品B1,B2がある、弱者C社の商品C1,C2がある。A1,B1,C1 と A2,B2,C2がそれぞれ類似性が高く、1 と 2 を組み合わせて利用すると利便性が高いとする。 A,B,Cのそれぞれで、基本的に価格や品質に大きな差はないとしよう。

この状況で、B社が販促戦略として、「B1+B2をセットで買うと割引」とか、B社とC社が連携して「B1、C1のいずれかを買うと豪華景品」とかやっても、何も問題ない。どこかの流通会社と、B社が独占的供給契約(ただし激安)を結んだとしても、「スルー」である。

が、A社が「A1+A2をセットで買うと割引」とやると「イエローカード」だし、それらの流通先に対して「B社、C社の商品置かなかったら仕入れ値を引きますよ」ってのは「レッドカード」である。

なんだかA社にとっては理不尽であるが、独占禁止法というのは「経済取引の自律的な最適化」に任せておくと強者の寡占が進行し、やがて価格決定等で競争原理が働かなくなることで、結果的に消費者の利益を損なう、という結果を「招かないように」、「自律的な最適化」のプロセスに対して法的・強制的に干渉するものだから、強者にとって不平等で理不尽なのは当たり前なのだ。

さて、そうしてみた場合、先の動画サイト等のケースに比べて、放送局がなぜ問題なのか、またJASRACが「やっちまった」致命的な失敗はなんだったのだろうか?

動画サイトの契約との違いは、放送のほうは最初、JASRACのみが管理業務者であり、実質的に全楽曲で放送に関する権利管理はJASRACのみでカバーされていたこと。

動画サイトは法律的には放送じゃないので、放送の許諾とは楽曲管理の委託範囲が異なっていて、JASRACだけではもともと全曲カバーしていない状況の中で、それぞれの管理会社と包括契約をした(そうしないと、使えない曲が出るから)ということになる。

では2点目、「JASRACのやっちまったぁ」であるが、先のリンクにある公正取引委員会のPDFファイルのうち、5ページ目、2(1)の次(2)が致命的だったのではないか?引用すると

平成17年9月下旬,当該協議の場において,民放連から,前記1(5)のイーライセンスの放送等利用に係る管理事業への参入の動きがあったことを受け,民間放送事業者から本件包括徴収により徴収している放送等使用料の額を減額する意向の有無について確認されたが,減額する意向はない旨回答

「放送等利用に係る管理」に競合者が現れ、JASRACだけでは100%カバーできなくなった。放送局としては「それに応じて包括契約の金額計算レートを修正するんじゃないの?」と聞いたらJASRACは「ノー」と言って、そのまま締結になったのだ。

その時点ですでに100%ではなくても、限りなく100%に近い権利を持つJASRACの「ノー」に、放送局は対抗する手段がない。これは、JASRACが「誠実な協議の上の合意だ」とか「理論的にただしい」といっても、独占禁止法の位置づけからは「絶対に認められない行為」である。

JASRACは反論の中で、「JASRAC以外の曲の分だけ減額するには、それらの利用状況を個別管理するしかなく、放送局にとってもJASRACにとってもコスト的不利益が大きい」ということのようであるが、それもダメである。

もともと包括契約は「まぁこのくらい」と定義したものであって、楽曲の利用実績の累積ではない。そんな契約に基づく金額に対して「減額するなら楽曲単位」というのは、自動車を買うときに「タイヤ3個だけにして、1個分安い」とか、「4人乗りセダンの椅子を運転席以外とっぱらって、3席分安い」っていう交渉に近いナンセンスな話だ。

どうせ「まとめて値段」であるなら、その「減額」についても例えば「競争状態が発生して以後に、管理が委託された全楽曲に占めるJASRACのシェアで概算」するだけでも十分に合理的なはずだ。

それでも、100だった価格が99.99になる程度かもしれない。しかし、それで新規参入者には十分なのだ。原著作権者に対して、「うちに管理を委託しても、JASRACと比べてメディアの利用が落ちることはありません、不利は何もないんです」と説得し、管理委託の手数料をJASRACよりも値引きすれば、管理のシェアをJASRACから削りやすくなる。そうしてJASRAC以外への委託が増えれば、JASRACの収入は99.99から99.90になり、99.0になり・・・JASRAC自身も委託者に対してよりよい条件を出し、放送局からの値引き交渉にも応じないといけない、という状況が発生「しやすく」なる。

つまり競争が発生してJASRACが独占していた利潤が放送局や原著作権者へと流れていく。

それこそが独占禁止法が目指す「成果」なのだ。

JASRACは徹底抗戦だというが、勝訴の可能性は「減額を拒否した」という指摘自体が事実誤認であった場合だけ。

その一点だけが事実であれば、その周辺にどんな論理を組んでも、最高裁までやったところでJASRACは敗訴する。

「独占禁止法はそもそも法の下の平等を定めた憲法に違反する」とでも主張する?しかし憲法には「公共の利益」という「個々の自由、平等」より優先する理念があるので、それも絶対無理。

逆に言えば、その「踏み外し」さえなければ、公正取引委員会は排除命令を決定できなかったように感じます。

BDの私的録音録画補償金をめぐるバトルについて

できるだけ新しいことをネタにしたいけど、やっぱり過去へのフォローが必要なこともあって、今日は(医薬品ネット販売に続いて・・・)そんな日です。

2月24日の記事 を書いた後で、関連する情報をGoogleしてみたら、同じココログですが kyojiさんという音楽関係の方の記事を発見、私とは違ったポジションの方の記事が興味深くてコメントしたら、非常に丁寧なレスをいただきました。ネットで1往復ぐらいでは、「言葉の感覚」をすり合わせることも難しいですが、視点の差が見えるだけでも非常に勉強になりました。

で、やっぱりそういう状況で一方的に勉強させてもらうだけでは悪いので、kyojiさんが取り上げている 皆さんへお願いー著作権のありかたについて皆さんのご意見をお聞かせ下さい という、文化庁が示したブルーレイディスクに対する私的録音録画補償金に関する政令改正について、回答を書くべきだろうと思いました。

私が見たのは、

メインとなる文化庁の意見公募(と、そこにリンクされた政令改正案)

JEITAの意見表明

JEITAのページにある2008年6月の経済産業省と文化庁の合意覚書

cultureFirstの意見表明

の4点です。その他、ネットを探せばいろんな情報がありますが、「事実」と「説」と「意見」が識別しきれないので、上記4点以外はあえて見ません。

【私の結論】

JEITA、clutureFirstのいずれの意見も、肝心な部分は「自分たちに都合が良いように、合意を拡大解釈」しているので、その意見全体を支持することはできません。

まぁそもそも合意文書が「一番大事なところ」を先送りして明記していないために、それぞれの団体が、「自分達の支持官庁が自分達への説得に使った文脈・行間の意味」を、相手の団体も認識しているはず、といっているだけと感じます。

でも、そもそもJEITAの論点がおかしいからcultureFirstの反論もおかしくなってる気配があるので、あえていうならJEITAが悪い。

いや、だって肝心の改正案は、「BDレコーダーとBD媒体を私的録音録画補償金の対象とする」でしょ?つまり「モノ」の話。で、JEITAは「アナログを録画するのは対象だけどデジタル録画は対象じゃない」って、「具」の話をしてるでしょ?わけわからん。

録画する時点で、「モノ」は利用者の手元にある、つまり「私的録音録画補償金」は支払い済みであって、どうやって「アナログを録画した」とか「デジタルを録画した」とか、「デジタルしか録画していないから補償金は必要ない」とかいうことを測定・検証する気なんだ???

で、その応えは「アナログチューナーを搭載していない機器は、アナログ録画はできないんだから対象外」という論法らしい。

が、過去に記事にした「ロケーションフリー」をネタにするまでもなく、「他者と差別化したヒネリの効いた商品」を作るのが家電メーカーの競争戦略である以上、「絶対にハズせないナニか」をキー、例えば「とにかくBDに録画する機能」に網を掛けないと、すり抜け放題になるのは目に見えている。

例えば、アナログチューナーがなく、いかなるネットワークにも接続できず、BD以外のいかなる媒体も接続できない。外部インタフェースは「デジタル用アンテナ」と「著作権保護された画像出力コネクタ」と「電源」のみ。

これを対象外にせよ、というなら、わからなくもない。でも何かちょっとでも条件が変われば、その「インタフェース」を通じて「もとはアナログであったデータ」を録画できることになる(例えば「BD内蔵個人用カメラ」とかでも、ビデオの盗み撮りができる)。現実の製品を考えると、「もとがアナログであるデータは一切扱えない」って、ありえないだろう。さらに、開口率とかレーザーの特性を厳密に定義してBDとしろ、とかいってるけど、技術革新によってBDよりすぐれた開口率やレーザーを用いた高密度な光ディスク技術が普及して、コントローラの工夫でBDと互換性を持っている、という場合にそれが対象外になるってのは無理な論法では。

まぁ、そんな感じでJEITA10点、cultureFirst50点くらいですね。

ただし!

私はそもそも「私的録音録画補償金」っていうのがすごくうさんくさい制度だと思っています。何度も書いているように、別にメーカーとか経済産業省の味方ということでなく、著作物を利用する側として納得できません。

私は海賊系コンテンツは一切手元に持ちませんし、誰かにコピー譲渡もしません。著作を行った人に対して敬意を持っていますし、適切な対価を払うことに何も異論はありません。

が、私的録音録画補償金は支持しません。その理由と、「どういう仕組みなら支持できるか」はまたの機会にネタにしたいと思います。

医薬品ネット販売の「改善」に、楽天自身はやっぱり何もしないのか?

2月11日の記事 で医薬品ネット販売規制に対する楽天・三木谷社長の動きをケナしまくったんですが、実際に2月24日に行われた検討会議をめぐる報道や、前後して行われた「規制反対」の団体等の意見表明を見ると、記事を書いた当時より、かなりまともですね。

ケナした当時の発言は「利便性をそぐから規制反対」というトーンだけでしたが、「ネットか対面かを問わず適正な医薬品販売の仕組みづくりを」というような、比較的納得しやすいトーンになっています。

最初からそうであれば、あんまり批判する気はなかったんですがね。

ただし、それでも納得できるのは、こういった業者や団体の動き(ケンコーコムのインタビュー@InternetWatch)まで。

「日本オンラインドラッグ協会」という組織として、自主的に安全なネット販売のために努力している、と。良いことだと思います。支持します!

じゃあ何が納得できないかというと、タイトルどおり、楽天(というか三木谷社長?)の動きである。

「医薬品の安全なネット販売のために、楽天がどのように貢献する意思があるか」について、あいかわらず発言をせずに、上記のような業界団体を動員して反対意見を盛り上げているだけではないか?

例えば、上記でリンクしたインタビュー、中盤よりやや後ろ「医薬品の流通全体としての取り組みも必要」という段落で、以下のような言及がある。

「ただし、ネットでいくら個数を制限しても、店頭をいくつか回れば多くの個数が購入できてしまうなら、あまり制限の意味がない。ネットのみの取り組みではなく、店頭も含め全体として、いかに安全・安心に医薬品を販売するかという取り組みが必要」

単独の薬局店舗が、自前で完全に独立した「オンラインショップ」を構築するというのはいまどき珍しく、楽天やyahooなどの「ネットショップモール」を利用することが多いはず。

逆に言えば、そういった「ネットショップのプラットフォームを提供する企業」が積極的に「医薬品ネット販売の安全確保」のために投資を行うことで、高いレベルで安全を確保できるでしょう。

かつては海賊版や著作権違反品が流通していたものをパトロールで排除し、掲示板の発言をパトロールしたりもする。同じように、モール内の店舗を渡り歩いて危険な量の医薬品を購入することをチェック・ブロックすることは、人海戦術への依存は少なく、システム開発だけでもやれるはず。さらに、クレジットカード等の照合(もちろん、それを事前に利用者が承認しないといけませんが、承認しないと医薬品は買えないというルールでも良いはず)などをして、複数のショッピングモール間での「渡り」もブロックすることだって可能でしょう。

楽天が、本当に「医薬品をネットで安全かつ便利に購入できる社会」を実現しようという意思があるのなら、なぜそこに踏み込んで意見表明をできないのだろうか?

私は「日本オンラインドラッグ協会」の取り組みも、その意見表明も支持できるが、楽天のキャンペーンは「卑怯」だと、今も思っています。

2009年2月24日 (火)

コンテンツという言葉をめぐる同床異夢

2/24 タイトル修正

この日記は自分が考えたことを書いているから、特定の記事を取り上げて批判や突っ込みするのは「あまりにもワラケたネタ」以外はやらないつもりだけど、自分が必ずしも詳しくない分野について、特定の記事を「踏み台」にするのはセーフとさっき決めました(笑)

で、踏み台はこの記事です。

コンテンツへの愛が感じられない経産省 @日経のIT系サイト

記事の中の細かいところでツッコミたいのは、本記事の批判の中核となっている経産省のコンテンツ担当課長の発言を引用して「部分的に正しいがコンテンツに対して冷酷だ」というあたりかな?「部分的に正しい」なら、「この部分は間違っている」と展開して欲しいけど、なんと言うかその点を「すりかえて」、この課長の発言はダメだ、と言ってるような。

しかし、本質的な点でいえばそもそも言葉に対する期待と理解が異なっているのではないかと思う。

「経済産業省のコンテンツ担当」は、「コンテンツ産業」の発展を目的としていると想像すべきであって、それは「クリエイターの隆盛」とは違うものだということ。

例えば経済産業省側では「コンテンツ」には、高解像度でデジタル化された美術品とか、天気や天体など自然環境の記録とか、統計とか、人名録とか、技術、化学、食品、そのほかデジタルに扱えるあらゆる「データ」が含まれると考えるべき。そういう情報を利用しやすく、関連情報を探しやすく、多様な場面で利用できる、そうしてさまざまな形でお金が回ってデータの整備がさらに進む、そんな仕組みやプロセスを含めて「コンテンツ産業」なのであって、「クリエイター」による「文化的コンテンツ」は「多種あるコンテンツのうちのひとつ」でしかなく、「クリエイターが【創る】文化的価値は高いけれど経済的波及効果は大きくない」コンテンツよりも、「プロダクションがメディアミックスプロモーションを駆使して【作る】、軽薄でも経済的波及効果が大きい」コンテンツが重要と考えるのは、省の役割として当然だと思う。

制作費5億円で観客動員100万人でもアカデミー賞になる映画と、

制作費100億円、最先端のCGや音響技術、3D化などをめいっぱい取り込んで、観客動員500万人だけど芸術面の評価はボロクソな映画

が、あった場合に文化庁は前者を重要と考えるだろうし、経済産業省は後者を重要と考えるのが「あたりまえ」じゃないか?

そして、そういう立場からしたら「クリエイターが、産業としての発展(より多くの投資獲得活動、販促活動等)を目指さないのはけしからん」という意見にもなるだろう。

上記の記事でも「部分的に正しい」に対する「誤り」を指摘していないけど、実際にその「発言」を読むと「冷酷」ではあっても「間違ってはいない」ように感じる。むしろ、3つめの発言などは「コンテンツ流通ばかりに金をかけずに制作に投資しろ」というあたり、クリエイターへの「愛」も感じられる。

また、「著作権は、弱い立場の制作側が所得を得るための唯一の拠りどころ」と上記の記事では主張しているが、「弱い立場の制作者の所得」をもっとも多く「横取り」しているのは、コンテンツ流通業ではないのだろうか?あるいは「そういう利権にむらがる、クリエイターの味方の顔をした人(ナントカ協会の偉い人など?)」とか。

例えば、CD1枚を消費者が1000円で買ったとして、「弱い立場の制作者」にはいくらのお金が回るのか?

著作権 印税 率 とググッて見つけた このサイト によると、アーティストの手取りは数%とか。残りはプロダクションや販売店など、コンテンツ流通業や「モノ」としての費用に流れることになる。

私的録音補償金を云々という話もあるが、「クリエイター」を保護したいなら、そんなこと以前に既存の利権構造を「クリエイター」がより多く収入を得られるように転換すべきじゃないか?

その私的録音補償金も、まずその所管団体へ入金され、そこから「一部をその団体自身の活動でも消費する分」があって、次に「●●協会」へ流れて・・・と、「弱い立場の制作者」に分配される前に「各種団体」が多段階で介在して、本当の権利者個人の手取りは半分くらい?

著作権の問題は、「作る側」と「使う側」の対立なんていう単純な図式ではないし、同じ「つくる」側でも「作る側」と「創る側」のどちらを重視するかも違う。

でもって、経済産業省は「作る(製る、といってもよい)」や「流通」を含めた「産業発展」が命題であって、「創る」ほうは文化庁なのだから、経済産業省に「クリエイティブな活動への愛」なんてものを期待するのはそもそも無駄だろうし、その姿勢を「コンテンツ産業を犠牲にしてでも機器メーカーの成長を目指」しているようだ、などとみなすべきでもないだろう。

上記の記事は「英国のICT戦略である「デジタル・ブリテン」で示されたコンテンツ制作側への愛とは真逆」と結んでいるが、その主管は英国の「文化省」なので、そりゃあたりまえでしょー!

2009年2月22日 (日)

ソフトバンクモバイルのMVNO参入に関するグレーな疑惑

ソフトバンクモバイルが、イー・モバイルの設備を利用して定額データ通信などにMVNO(仮想移動体通信事業者)として参入する という話。

「それは移動体通信の実体事業者(MNO)の責任放棄だ」とかいって、MVNOの協議会が反対表明したりしている。

利用者が便利ならいいじゃん、というソフトバンクと、競争阻害を訴える協議会という構図だけど、正直いって1社から2社、2社から3社・・・と事業者の母数が増えるにしたがって、「新規参入による競争刺激効果」っていうのは逓減する(10社が11社になったってインパクトがない)から、その点は「別にかまわん」というソフトバンク側に賛成です。

この記事で取り上げたいのはソコではありません。

「ソフトバンクモバイルのMVNOは、かつて買収したvodafoneからの継承事業に含まれるか否か」という点が、ざっとネットを検索したところはっきりしていないし、ブログなどでもあまり言及する人はいません。が、実はこの「グレー」ってすごくヤバイ問題を含んでいるわけです。

なんのことやら、とか、買収当時の記事の記憶がない人のためにポイントを復習すると、

1.ソフトバンクグループは、vodafoneグループの日本法人の全事業を、総額1兆7500億で買収した。

2.その買収資金のうち、1兆2000億円ほどは、「買収先の資産と事業収益を担保」として金融期間から借り入れた(レバレッジド・バイ・アウト、略してLBOという手法)

そして、問題は。

3.LBOの融資条件は、ノンリコースローン(非遡及型融資)である

詳細は この記事 がいいかな?報道発表時のスライドが見えます。

つまり、1.2兆円の融資は「買収したvodafoneの事業の資産とキャッシュフロー収益からしか回収してはいけない」というルールで、その分若干金利が高いということ。

もうおわかりでしょう?

もしも、「vodafoneから継承した事業は、MNO(設備を自前で持つ移動体通信事業)であって、MVNOはその事業に含まれない」とすると、MVNOでどんなに儲かっても、それは買収時の借金返済に充てる義務はない(というか、その収益に融資元は手を出せない)のです。

今までソフトバンクがデータ定額をやらなかったのは、基地局のキャパシティを音声用に十分確保するため、だという。逆にいうと音声というのは設備に比べて収支効率が良くないとも言えますね。

例えば、イー・モバイルの設備を使ってデータ通信の定額プランを提供するだけでなく、「とにかくデータトラフィックはできるだけイー・モバイルのインフラを使う」ようになったとしよう。その結果「自前設備の旧vodafone事業は赤字でーす、借金の返済原資が足りませーん。でも、MVNOで稼いでいるからソフトバンクモバイル全体は黒字でーす」ということは十分にあり得ることになります。

「それはいくらなんでも考えすぎだろ?」と思うかもしれません。実際、ドコモやauが対象であれば、その「体質」からして私も疑惑を感じません。

ところがソフトバンクというのは、極めてアメリカ的というか、さまざまな金融手法を組み合わせて「数字としての収益」をコントロールすることが異常なくらい得意な会社。かつてはyahooBBのADSLモデムをめぐってもアクロバットな処理をやっているし、そもそもvodafone買収自体がトリッキーな仕組みだ。

MVNO参入発表は、事前に上記の融資元と調整・了解を得てのことなのか?あるいはそもそもソフトバンクモバイルとしてはMVNOの収益も、買収資金の返済原資になるという認識であって、何も問題はないのか?

ならばこの記事は超ハズしまくりですヽ(´▽`)/

でも「ハッキリと公表していない」のは良くないのではないかと。何しろ1兆円とかそういう金額の返済リスクに関する問題なのですから。

ソフトバンクモバイルでも金融機関側でもいいから、その点をどこかで明確に公表するべきではないですか?(もしくは、誰か取材でツッコミ入れてくれないだろうか・・・)

ちなみに、買収のファイナンスに絡んでいる金融会社などは、ソフトバンクの2006年秋頃のニュースリリースに詳細が掲載されています。

「危険な兆候」を知ったのか?自動車業界がワークシェアする本音

不況対策のひとつとして、政治の世界だけでなく産業界の労使とも「ワークシェアリング」を本気で検討しよう、なんていう話が数ヶ月前から出ていて、春闘でも議論しようという動きもある。

しかし、個々の業界で見ると微妙な違いがある。

シャープやパナソニックなどの電器をはじめとして、ほとんどの業界はバンバン派遣社員や期間社員を「雇い止め」なり「途中解約」して、場合によっては工場丸ごと集約とか、そんな動きだ。

一方、自動車業界は「操業停止日を毎月少しづつ設けるが工場集約はナシ。期間工も縮小するけどゼロまでいかない」というトヨタはじめ、マツダ、スズキ、さらには日産も「ワークシェア」の導入を表明するなど、積極的だ。

誰でも感覚的にわかる「その理由」は、

1.自動車業は今回の不況の影響が(金融業と並んで)一番大きい

2.すでに生産縮小がいっぱいで、これ以上のリストラは正社員にかかる(期間契約者も高レベルの人しか残ってない?)

3.製品特性上、社員や工場を一度「リストラ」すると補充が困難

くらいだろうか?「政治的な働きかけや社会的配慮から、率先して雇用維持の規範となっている」っていうのもあるかな?

だが、「何か不穏なモノ」を感じる。

企業というのは昔に比べてステークホルダーが多く、特に海外を含めて投資収益として株式保有する相手がいる以上、「雇用者の削減」ではなく「ワークシェア」をすることは、「収益面での何かの意味」があるとは考えられないだろうか?

それも、家電やハイテク製造系の業界とは異なる「事情」。

ある程度の企業は、長くても月単位では収支の状況を把握している。たぶん、今の時期だと「リーマンショックによる直接的な需要減退」以外に、その「余波」が数字に見えているはず。そこに「自動車業界にとって危険な兆候」があったのかもしれない。

あくまでも想像だけど、トヨタや日産など自動車を売る本体ではなく「金融子会社」に。

「いや、そもそも金融から問題が波及して・・・」と、それは保有する債権や株式などストック上の影響。銀行など自己資本比率が対外的に重要な業界はともかく、自動車会社の金融子会社にとっては帳簿上は損失計上であっても致命傷ではない。

なぜなら「貸出の多くの部分は、グループ会社の製品販売に絡んだリースやローンだから自社の信用力は市場で問題にならない」から・・・・おや?ちょっと待て。

そういう「金融子会社の、フロー部分」はどんな影響があるだろうか?

自動車って、「全額一括払い」よりローンを組んでいる人が圧倒的ではないか?

自動車会社への派遣や期間工として就職している人は、強制されたわけでなくても、その会社の自動車を買って、そのまま金融子会社でローン組んだりしてないだろうか?

他の業界でバンバン切られちゃってる派遣・期間契約社員も、自動車ローンを持っている人は多いだろう。

「リーマンショック」発生からの時差と、春までに数十万人といわれる「雇い止め」で増え続ける失業者。タイミングとしては「滞納率・延滞率」が金融子会社の収支に「じわり」と見えはじめるころじゃないか?

まぁ、いきなりそれで金融子会社が倒産したりはしないだろうけど、需要減退で苦しむ親会社から「資本注入」するハメになりかねない。

1000人の期間工を雇い止めしてしまうのと、「ワークシェア」という言霊を使って「ローンの延滞者を1000人圧縮する」のと、どちらが良いか?という計算が働いたと考えると、なんとなく納得できる面がある。

「家電だってボーナス一括とか分割払いしてるじゃん」・・・ブブーッ!

それは「クレジット会社経由」でしょ?クレジット会社は一種の債権調整・回収代行です。

「50万円の商品を24回払い」にしても、売り手のほうにはその時点で50万の売上が入り、後はクレジット会社が24回に分割して(金利を上乗せして)徴収しているだけ。

だから、家電・電器業界にとっては「自社製品購入促進」というような社内キャンペーンをすると、たとえ社員が分割払いで買っても売上はちゃんと出るし、「ワークシェア」をやっても金融面のリスク改善効果は何もないんです。

部品等の周辺産業との連携を含めて、本来「大規模製造業」として類似性がある自動車業界と電器業界。

最近の動きにおける両者の明確な違いは、そんなところにあって、それが表面化するくらい明確な「兆候」を自動車業界が「つかんでいる」と考えるのは、結構ツジツマが合うように思いますが、どうでしょう?

2009年2月19日 (木)

戦後最大の不況をチャンスにできる政策をしてくれよ!

「国会議員も落選したら失業者」という状況では期待できないのかもしれないが、政治の世界の住人には、やるべき不況対策とやってはいけない不況対策をちゃんと区別して欲しい。

やってはいけない不況対策の筆頭は、公共事業(建設工事だけでなく、IT関係も)の拡大というようなもの。前にも言及したことがあるけど、「不況のときに消えるべき企業を存続させてしまうと産業構造が変革しづらく、供給力過剰な状態のままで景気回復局面に入るから、需要が増えても供給が逼迫しなくて波に乗れない」のだ。

やるべき不況対策は、「10年後にめざす社会を実現するための民間投資を呼ぶ」こと。

例えば、今から10年前、1999年。携帯電話はどんなだったか?インターネットを知らない人も多かった。ブロードバンドは高かった。自動車はプリウスとかなかったし、カーナビは珍しかった。小売関係ではユニクロとかスタバは・・・少なくとも私は存在も知りませんでした。大画面液晶テレビとかすごい値段だったのでは?ブラウン管も多くなかったか?DVD?いや、まだVHSとかも普通じゃなかったですか?

10年間あれば社会はすごく変わることができる。でも、そこへたどりつくまでには技術の確立、規格統一、工場の建設、資材の供給体制、消費者の認知、それぞれに1年の時間差があるとあっという間に10年たつという見方もある。

だから、10年後に「あるべき社会」が今と大きく違うものであるならば、今から民間の投資を動かすように、きちんと「道標」を政治の世界が示すべきだと思う。

例えば環境をテーマにしても、「グリーンニューディール」なんていう包括的な企画よりも「10年後には国内生産自動車の30%は電気自動車(or燃料電池車)にするぞ!乗用車だけでなくトラックもバスもバイクも全部だっ」ということを要求したらどうだろうか?

たぶん、業界は「無理」というだろう。でも「無理」な理由はなんだろうか?

技術が安定していない?関連企業の共同プロジェクトをスタートさせよう。必要な設備やその間の人件費、試作、実験費用はバンバン補助しよう。

部品がない?部品の規格を統一して、まず部品工場の投資を助成しよう。

インフラがない?水素供給ステーションや充電スタンドも、設備の標準化をして毎年の整備目標を作って、その目標達成のために補助しよう。

需要に確信がもてない?まず公用車やタクシーなどの公共用途をリプレースする予算を組もう。購入の補助金も保証する。

とにかく「ニワトリとタマゴ」になっているようなものは、この際がんがん補助金叩き込んででも「回転」をはじめさせることが重要。回転を始めれば民間企業が自主的に投資する規模がどんどん増える。

ちなみに、もしもITの世界で「力技で社会を変える」なら、電子政府なんていういつまでも芽が出ない無駄な取り組みではなく、「地デジ移行」級に明確な目標を設定して「国内IPネットワークのIPV6完全移行」のために、各種の補助事業をぜひ推進して欲しい。IPアドレスの枯渇は現実の危機。機材の多くが海外製品であっても、それらを設置設定し、接続する工事、それらに対応するように各種のソフトウェアを更新する作業など経済波及効果は小さくない。

10年後の農業(というか食料供給)はどうであって欲しいのか。10年後の医療は。10年後の物流は。

「今、何も不便も不満もなく満足」している領域なんて、たぶんひとつもないだろう。ならばどんな領域も10年後には「今とは違った世界」を目指せるはず。

需要刺激策は、「今、供給できるもの」がターゲットになってしまう。定額給付金にせよ、公共工事の強化にせよ。でも、「未来のための投資行動」に対して、それと同額を供給すれば、供給された資金に民間自身の資金が上乗せされて、結果的に「今、供給できるもの」への需要も創出されるはず。

だから、「民間企業を未来へ向けて行動させる」ように政治世界の住人にはがんばってもらいたい。

GDPの落ち込みを受けて、「20兆円規模の経済対策が必要」だという。アメリカでは70兆円の対策を取るという。こういう数字を見ていると感覚が麻痺してくるけれど、少し前にあった、リニア新幹線の建設計画についての報道を探してみて欲しい。

東京から名古屋まで総事業費は「たったの」6兆円である。最終的な予算は膨らむだろうといっても、2倍でも12兆円「しか」かからない。

20兆円とか72兆円が、「今の需要」ではなく「未来を作る」ために使われたら、それはものすごいインパクトをもたらすことができるはず。

業界の支持を取り付けるとか、すぐに有権者ウケする施策とか、そんなんじゃなくて、国は未来へ投資する、そこへ向けて民間企業が投資する、そういう「不況ならではの社会変革」をするには、今は絶好のチャンスだと思う・・・・んだけど、なんせ政治家は選挙に当選しないとフリーターになっちゃうから選挙向け施策が優先しちゃうんだよな。

2009年2月15日 (日)

アメリカ大統領のオールマイティぶり

スパイ映画からゴルゴ13まで、「米国大統領」っていうのは極めて特別な存在として描かれる。

弾劾を受けないかぎり、基本的に4年の任期が保証され、議会と独立した存在であるという点で議院内閣制の日本とは根本的に権限のレベルが違うし、政策的な利害がない限り、その権限行使にいちいち議会も野党幹部も突っ込まないらしい。

何の話かというと

ホワイトハウス、特別機で議員空輸 景気法案可決に1票 by asahi.com

(@Д@;

ホテルの高級バーで酒飲むだけで袋叩きされるどっかの首相はかわいそうだな(゚▽゚*)

2009年2月14日 (土)

学力調査の成績公表のあり方

大阪府の橋下知事と教育委員会のバトルが有名ですが、

学力調査 成績自主公表の市町村は教諭増 大分県教委 by asahi.com

なんて話もあるんですね。

私の考えとして、税金使ってやってる学力調査の成績情報が「原則、詳細は非公表」っていうのはおかしいと思います。

もちろん、その結果「過当競争」は子供のためにもよくないでしょうけど、かといって「現実に存在する学力差」を隠すべき、というのはやはり問題があるし、「適度な競争」は行われるべきでしょう。

どんな風に統計が取得されているのかわかりませんが、公表の仕方によっては過当競争なしに、「学力の状況を把握し、適切な改善策をうつ」という効果があるはず。

そもそも「平均点」で公表を議論することが間違っているのでは?

例えばA校とB校はどちらも生徒が100人、どちらも50人が50点でした。

残りの50人ですが、

A学校は 30人が100点、15人が30点、5人が0点(50人計で3450点)

B学校は 10人が100点、20人が80点、20人が40点(50人計で3400点)

この結果、A学校のほうが平均点は高くなるはずです。

これが「高等教育」の世界であればA校が良い評価を得る面もありますが、学力調査は小中学校という義務教育の世界です。その場合、30点以下の生徒が20人いるA校は本当に「良い」のでしょうか?

平均点で評価しようとする限り、その公表によって「優秀な生徒に点を稼がせればいい」「90点取れる生徒をいかにして100点に近づけるか」という、まさに過当競争が生まれやすい状況になります。

義務教育における基礎学力状況という意味では、「平均点(または目標点)のxx%以下の得点である生徒の比率」を公表したらどうでしょうか?

例えば「平均の70%以下」とすると、全国平均点が70点だったある教科について、その70%、つまり49点以下だった生徒がどのくらいの比率であるか?を公表する。

こういう仕組みだと、すでに90点取れる「要求される学力をほぼ満たしている」生徒にさらに「点稼ぎ」のためのテクニックを叩き込むことは意味がなく、「学習についていけていない、理解不足の可能性がある」生徒に対してきちんとケアをして、目標を超えるようにしていくことで評価が上がります。先の例でもA校よりもB校のほうが「未達成率」は低くなります。

そこで発生する競争は、決して過当競争ではなく、「義務教育として求められる学力を着実に習得させているか」という、小中学校本来の役割に近い競争であるはずです。ならば「そういうこと」に怠慢な学校や教育委員会が「過当競争」を口実に公表を渋る理由そのものがなくなります。

すごく簡単な数字のトリックの世界だけど、「教育」に関わる多くの人がなんでこういう方向の議論ができないのか不思議です・・・・。

楽天にはブログをチェックする専担がいるのかな?

2月11日に前の記事(医薬品ネット販売についての楽天のネタ)を書いた。

2月13日に楽天の決算発表があった。

2月13日の夜、 rakuten.co.jp から、 googleのblogsearch(普通のサーチでないところが、また)で「医薬品 三木谷」というキーワードの検索で上記の記事がアクセスされた。

楽天の社員が、偶然検索してみた、にしてはあまりにもなタイミングなので、決算発表への反応を含めて、自社がネット世界でどう評価されているかチェックする担当、とかがいるんでしょうね。

2009年2月11日 (水)

医薬品ネット販売規制にピンボケ反論する楽天・三木谷社長

医薬品のネット販売規制を強化するという薬事法関連の省令公布に対して、楽天(特に三木谷社長)の狼狽ぶりは滑稽といってもよいレベルだ。

単に反論するだけでなく、自社バナーを掲載したり楽天市場内で反則じみた署名誘導をしたり、その反応は「がんばってる」というよりも「きっと楽天において規制対象となる医薬品の販売に対する手数料や、そういう店舗からの収入が大きな比率なんだろうね」ってな醒めた反応をしたくなる。

献金でもしてるのか、社長自らメールを出しまくった(いや、それじゃスパムだろ?)成果か、舛添厚生大臣が見直しに含みを持たせる発言したりしているが「ちょっと待て」といいたい。

そもそも、なんでこういう規制の話になったか、また消費者団体の一部や薬害被害団体などが今回、規制に反対していない(そういう意味で、決して国民不在の行政による暴走ではない)のはナゼなのか?(ちなみに、楽天がキャンペーンページで記載している「健康被害の実例は1件もありません」という件は、ウソであると市民団体が指摘し、当該の薬品の販売を規制したが、上記の文面はナゼか取り下げていない)

規制の理由になっているのは、薬品という一歩間違えば生命そのものを危険にし、また用法を誤れば病気の症状を悪化させかねないというものが、「対面販売なら当然払われるべき注意もなしに」がんがん買えること、なのだ。

いまどき、薬局店舗で「ヤバ目なくすり」を大量に買い込もうとしたら、拒否されることもあるだろうけど、オンラインではそういう抑止力が働かないから、と。

だから、もしも規制強化に反対するなら、「医薬品の販売を適正に管理する仕組みを導入するから、今後も従来と同じ種類のクスリをネット販売できるように」と対案を示すべきであって、「利便性をそぐから反対」というのは規制強化の理由に対して「回答になっていない」じゃないか?

実は、医薬品というのは「きちんとした仕組み」があれば、対面販売以上にネット販売が向いている。対面販売と違って、ネット販売は履歴が残るからである。例えば、1回に2箱くらいまでしか「売るべきでない」クスリがあるとする。対面販売では、山ほどくる客の顔を覚えていなかったり、レジの対応者が違ったりするから、時間をずらしたり日を変えて分割して大量に購入することは容易である。

しかし、ネット販売は「何を」の他に「誰に」「いつ」売ったかの記録が残る。最近「上限」まで販売した人がさらに購入しようとすると購入がブロックされる、なんて仕組みは難しくもなんともない。

それだけでなく、商品名が違っても類似したハイリスクな成分を持つクスリをまとめて追跡することだって可能だし、例えば楽天市場に出店しているすべての店舗の販売を追跡して、楽天市場内の店舗を渡り歩いて購入することを防止することも技術的にはできるはず。(yahooとも連携とかいうとちょっと面倒だろうけど(笑)

実際、前述の「被害の実例」を指摘されて、「その商品は販売禁止」にしたのだから、楽天自身が努力して「網を掛ける」ことなんか簡単なはず。

にも関わらず、楽天は一切そういう姿勢を見せない。薬品が悪用される・誤用されるリスクに対して、対応可能であるにも関わらず、そういう取り組みをアピールしない。キャンペーンページでも「各店舗は薬事法で許可を受けてる」とかいう主張ばかりで、楽天自身が責任を持って安全な薬品購入をバックアップする仕組みづくりに取り組むとは一切主張しない。

なぜなら楽天はそもそも「汎用オンラインショップ」であるために、自社のプラットフォームにそういう仕組みを持っていないから。そして、自社だけがオンライン薬局に対して規制をすると、店舗がライバルのショッピングモールへ流れるから。今の三木谷社長の動きは、どう見てもそういうレベルの低い意識を「利便性」という言葉で偽装しているようにしか見えない。

新しい産業であるネットビジネスに過大な規制をすべきではないというのは正しいと思う。しかし、オンライントレードは「対面販売でも売れるもの」を効率良く売るための手段であって、「対面販売で売ってはいけないもの」に対する抜け道であってはならない。

ネット販売のあり方を議論する検討会に厚労省は楽天の別の役員を指名したけど三木谷さんは「自分が出る」とかいきまいているらしい。

OK。出てください。そして「利便性のために少々のリスクなんか気にするな」などという低俗な反論ではなく、「医薬品を安全に販売するためにどのような取り組みをするか」という建設的な議論をしてください。

少なくとも今、あなたは「世論の代弁者」として広く支持を得ているわけではない、という自覚を持った上で。

2009年2月 7日 (土)

不況対策の道筋が最も困難な企業-トヨタ-

上場以来初の赤字、という企業は山ほど出ているが、トヨタの場合は「この後どうするか」という点でものすごく微妙な状況ではないか?

「4500億の営業赤字」は、「調査可能な1968年以後、金融機関を含めても日本最大」なんだそうで、そりゃまぁ普通の会社はつぶれるからね。逆にそんな赤字を計上できるのはトヨタの体力ストックが強いという証明でもあるから、それは問題じゃない。

問題の1点目は営業損益が4500億で純損益が3500億ということ。日立やシャープでは、保有有価証券の評価損計上など、営業外損益も多額だったけど、トヨタは営業外では1000億くらい「良い」ということになる。今は金融決済手段がいろいろな技があって、そういう部分で利益が出ることもあるけど、「資産リスクを整理しきっていない」可能性がある。

問題の2点目はこれまでのトヨタの強さそのものによるジレンマ。工場の操業停止日を設けたりして必死に生産を縮小しているけど、工場の閉鎖予定はなく、期間工も減るけどゼロにする予定はない、と他の赤字計上会社に比べると「叩き込み」が明らかに小さい。トヨタの強さは、きっちりとしたマインドが社員や下請け企業まで浸透し、品質、生産性、顧客満足を高める、そして会社もそれに応えるという、まさに「一体で戦う力」なのだと思う。その力を支える根幹は「従業員と経営層の相互信頼」であって、一時的な収支悪化に対してもコレがゆらぐような措置は取れない。一時的な業績回復があっても「信頼を裏切った」という傷は長い未来にわたって悪影響があるから。「内部留保でどこまでガマンできるか、その間に市況は改善するのか」というネバリの対策しか取れない。

問題の3点目は、戦う相手が違うこと。かつてジャパンバッシングとか、急激な円高とかの苦境は乗り切った。しかしそれは「自動車」に対する需要そのものはあって、競合他社と戦う力を生み出し、勝利することで乗り切れた。対して、今はそもそも「生産台数世界一」になったことで、戦う目標があやふやになっている。エコとか自社の記録更新とかの目標は立てられても、やはり仮想敵がいて、分析し、戦略を立てて挑むのとはモチベーションが違うだろう。さらに言えばそもそも「需要」自体が急減してしまっている。大型車から小型車、とかでなく、市場全体で縮小。    そういう状況では「車を買おうと思った客に、他者と比較して選んでもらう」という強さではなく、「他の(車以外の)ものより、「この車」が欲しい」と思われる強さが重要になってくる。しかし、これはトヨタが一番苦手な分野ではないだろうか?トヨタの車は、車を必要とする人により多く選ばれる商品ばかりで、「車好き」のための車がない、と感じるのは私だけだろうか?公道でバトルとか走り屋をネタとする漫画はこれまでいろいろあったし今もあるけど、そういう世界に「トヨタ」の車ってもう何年も登場していないのでは?(2000GTとか大昔は別として)

「燃費が良くて故障が少ない新車に買い換えると、結局はお得ですよ」という営業戦略ではなく、「おもわず飛びつきたくなる車(光岡のオロチとか?)」がないと、景気が底入れしても「トヨタの車を選ぶ層=堅実な層」は「自動車の買い替えを最もガマンする層」でもあるから、他の自動車会社以上に需要回復が遅れるのではないか?

自動車市場の圧倒的な率を占める「コモディティニーズ」に適合し、ある意味で「大きな市場に注力してナンバーワン」という企業戦略の王道で最強になったトヨタ。

自身を強者たらしめていたすべての要素が反転する中で、どんな「技」を繰り出すだろうか?

橋下知事が「弁護士出身」であることの脅威

政治家は、「有権者の声、支持」があればとりあえず強気な政策を出せる。

でも、銚子市のように「病院を存続する」という支持を集めて市長になっても、現実にそれがどうにも実行が困難なこともあるし、特に自治体の権限は国の法令の元でのみ有効だから、なかなか国と喧嘩するような施策は打ち出しにくい。

そんな中で、支持を背景にした強気と、アイデア、メディア利用、人心掌握など、当初外部が想定した以上に「すげぇ知事」をやっている大阪府の橋下知事。

まぁメディアが騒ぐ事件はいろいろあったけど、つい最近の

「国の直轄事業に対する府の負担金、納得できないものは予算計上しないもんね」

という戦術は、弁護士としての経験を活かして「万一の法的リスク」まで看破して打ち出した感じがする。個人的にはこれまでで一番、対立関係者にとって「対抗策が手詰まりだぁ、やべぇ」という感じじゃないかと。

何でか?

まぁ新聞記事などから推測するに、「国の直轄事業に対して地元自治体が費用の一定割合を負担する」ことは、何かの法令に明記されてるんでしょうね。

じゃ、「橋下知事の行為は違法」であって、例えば国が大阪府なり知事なりに行政訴訟を起こしたら勝てるのか?っていうと「予算主義」が妙なパラドックスを引き起こすと思います。

少なくとも現時点で、大阪府の予算案も、「国の直轄事業」の根拠となる国の予算案も成立してないわけですよ。

先に大阪の予算が成立した場合、「負担金が予算として計上されていない」という「事実」が既知となった後で、国が「負担金が計画されていない直轄事業」を決定することになります。

「すでに執行に入っている事業の負担金」を一方的に支払わないなら、訴訟を起こされたら完敗でしょうけど、国が後手を踏んだ場合に訴訟を起こしても国が勝訴することは非常に難しいように思います。たとえ、何かの事件によって先に国の予算が成立しても、それはあくまでも「予算の成立」であって、少なくとも4月になって年度が変わるまで「執行」できないし、4月1日に大阪府関連だけ全部執行に入るのも事務期間的に不可能でしょう。そうすると結局「府が費用を負担しないことを知っていて執行」することになるので、やっぱり国のほうが旗色悪いと感じます。

まぁそもそも訴訟を知事に起こすのか、府に起こすのか・・・訴訟を起こしたとしても、問題の年度内には絶対判決が確定しない(最高裁まで行くでしょ!)と思いますが。

橋下さんがトンデモナイことをやると国会議員や省庁幹部が露骨に非難することがあるけど、今回は国土交通相も事務次官も「なんとか理解を得たい」と困惑している状態と報道されてますが、それは今回の戦術が非常に「イタイ」ということを意味しているように感じます。

出会い系サイト規制法は・・・

少し前に【「未成年のサイト経由出会い」対策としての携帯規制もろもろ】という記事を書いたけど、その続きネタを書こうと思って警察庁の解説ページを見ていて、ふと。

・・・この法律では、「出会い系サイト」というのは「インターネット異性紹介事業」という用語で定義されていて、それを規制する法律だと。

一瞬、「ふーん」でスルーしそうになりますが、・・・「異性」・・・

つまり、 「同性愛者のための出会いサイト」は一切規制の対象外です

\(;゚∇゚)/

それなりにちゃんとした規制だと思っていたけど、何か・・・アレ?と思ってさらにサイトを読んでみると、「異性間で相互に連絡できる仕組み(メッセンジャーとかか?)を提供するサイト」であることが規制対象の要件のひとつになっていて、「自由に書き込めて、誰でも読める掲示板方式、自分のメルアド書きたければどーぞ」ってな仕組みだけのサイトは規制の対象外らしい。

Σ( ̄ロ ̄lll)

なんか抜け道だらけのようですが、果たしてそれは抜け道なのかどうかというと、どうやら「詳細は所轄の警察署の指導に従え」みたいなことになっているようです。

その結果、「利用者が児童でないことを確認する義務」に対して、あるサイトでは「氏名や生年月日を証明する書類を必ず提出せよ、その資料は警察へ提出する」という、「そこまでして、そういうサイト使う人がいるんだろうか?」って話があるようですし、一方では、前述の警察庁のサイトで「生年月日、書類名、書類の発行者名」がわかる資料で18才未満でないことを確認せよ、となっていることをタテにとって、「確認資料は、氏名や住所部分を読めないように加工(墨塗り?)していてもOKです」というのも・・・イヤ、それは本人確認になってないだろ ヾ(.;.;゚Д゚)ノ」 

まぁ、しょせん「ヤバげな商売」なんだし、業者が全滅しても知ったこっちゃない(おっと)。しかし業者の側にしたら、自分のエリアの「所轄警察署」よりも甘いルールが適用されているエリアの業者ばかりが生き残っちゃうのは納得できないでしょうね。本社の登記移したくなるだろうな。

さらに言えば、なんでこんなに微妙に抜け道のようなそうでないようなものが多い法律になっちゃったのか、その検討過程を想像すると・・・なんかお笑いな事件がいっぱいあったんでしょうねぇ

( ´艸`)プププ

2009年2月 6日 (金)

インフルエンザとタミフルと「進化」の不思議

先週くらいに「流行しはじめているソ連A型は、サンプルの97%がタミフル耐性」という報道がありました。「昨年は5%くらいしかタミフル耐性でなかった」という記事も。

・・・謎ですね。

例えば、生物A と 生物B がいて、、生物Aが生物Bの天敵だとします。

生物A=狼 生物B=羊 とか。こういう状況では生物B(羊)の生態エリアに生物A(狼)が「乱入」した時点で、生物B(羊)が駆逐されて生物A(狼)が大勢力になる、というのは理解できる。

しかし、「タミフル耐性」という能力を持ったウイルスが、「タミフル非耐性」の生態系内で発生した場合に、たった1年でなぜ「タミフル非耐性」が駆逐されるのか??

「非耐性」インフルエンザに感染し、タミフルを処方されても、「非耐性」が全滅して残ったウイルスが全部「耐性」を持つわけではなく、たまたま効力から逃れた非耐性ウイルスや、タミフル処方前に他へ感染した非耐性ウイルスも多いはず。

だから「タミフル耐性」ウイルスが「どこか」で発生したとしても、新たに感染する人が「耐性」に感染する確率よりも「非耐性」に感染する確率はずっと高い状態が続くはず。

わずか1年でひとつの「種族」が、丸ごと進化してしまうってありえるのか?

可能性として考えられるのは、

「そもそもタミフルは、ウイルスが耐性を獲得しやすいという特性があった」

ということ。

「耐性ウイルス」が、「世界のどこかで偶発的に」発生したのではなく、タミフルが処方された「世界各地」で次々に耐性ウイルスが生まれた、と考えるのが自然ではないだろうか?

時間のスケールがあまりにも短い今回の「進化」は例外ですが、こういうパターンは昔から「進化論」に対してちょっとだけ納得しかねている部分でもあって、「より環境に適応した種」が生まれたからといって、「ちょっと適応が悪い種が絶滅」して、適応種に「代替わり」って起きるのだろうか?と。よほど致命的に「非適応種」が絶滅する原因があり、その絶滅原因に抵抗できる「適応種」であった、というのでもなかぎり、「非適応種が種として消失する」理由がよくわからないんですよ・・・・( ´・ω・`)

もしかすると意外に早い景気回復

次々に発表される赤字決算、工場閉鎖、倒産・・・・ココログニュースにも「マスコミ恐慌」なんて言葉が出ている。

が、実はいろいろと見ていると「意外に早く景気が回復し始める」ような気が、最近しています。おそらく、世界の中でも日本は比較的早い時期に回復傾向に入ります。

倒産というのは、昨日書いた記事でいうと「余分な供給力が消失」することであり、工場閉鎖も生産性のリストラクチャに他ならない。こうした動きがガンガン起きた後に景気が底入れすると、その時点で供給力が相当に厳しい(需要過多)になり、しかもそれを満たすためには「投資行動」が必要になっているので、景気拡大サイクルに入りやすいはず。

また、赤字決算にしても余剰人員削減のよい口実にもなる(失礼!)し、その赤字決算にも二種類あって、「買収した企業等の株価評価損」とかを何百億も計上したり、リストラ費用をガンガン積んだりしている。

税制では「損益通算」、つまり「ある年に利益が出ても、過去に赤字だったらその分を利益から帳消しして税を計算できる」というルールがあるため、体力がある大企業にとっては無理に「ギリギリ黒字」にするよりも、ガンガン赤字にしたほうが将来、黒字が出ても税金を少なくして、その分を「手取り」にできるから、こういうときはガンガン赤字にしちゃう。

かつて、バブル崩壊後に「失われた10年」などといわれる時期がありました。そのように経済が長期停滞した最大の理由は、「傷をおった金融機関が膿を出すことに消極的(またはやりたくてもできなかった)」面があります。

それに比べて、「ガンガン無駄なモノを整理する」という今の動きはすごく健全です。たぶん、経営者サイドにとっても、「今年の赤字は世界不況と説明がつくから、経営責任を追求するヤツなんかいないぜっ」という心理によって、大胆な処理ができているのでは(^^;)

そういう意味では、資本注入した場合のトップの報酬制限とか、バイアメリカンの範囲とか、未経験の領域で国の内外と調整をしなければならないアメリカをはじめ、「失われた10年」を経験していない他の国々に比べて、「傷を負ったときの対処」をわかっている分、日本の景気回復は早いのではないでしょうか。

景気の後退局面では、政治的な措置で緊急避難しつつ、企業が自主的に投資行動を再開するための各種施策を組んで、それに対して企業が投資の意思決定をして行動に移す、というような形で底入れ・回復局面になる「はず」なんですが、ぐだぐだ状態の国会を見ていると、「緊急避難」のはずの諸策が「執行」段階に入るころには、企業側は無駄落としをとっくに終わっていて、「底入れ後の景気回復刺激策」になっちゃいそうです。

企業の倒産や赤字が「さらに消費を萎縮させる」という話も出ていますが、これもおそらくハズレです。

昨年後半以降の経済動向を見て、最終消費はすでに「目いっぱい萎縮」しており、生活費の余剰分は貯蓄等へ向かっている。昨日も書いたように、こうなると「会社が倒産、解雇され、失業保険給付や生活保護を需給」となっても、実効的な消費支出は「雇用されていた当時」に比べても減少幅が相対的に小さくなります。

消費の底入れが09年度上半期というのは十分にありえるシナリオだと感じます。

2009年2月 5日 (木)

こういう景気対策はダメなのか?

本題の前に・・・昨日のアクセス量は何事だ(^^;)個人的に思ってることを気まぐれ勝手に書き散らしているだけで、どこからもリンクしてないから1日に検索エンジンあたりから1~2アクセスしかないのが普通なのに妙にアクセスが多かった・・・

閑話休題。

内部留保は雇用維持じゃなくて投資に使わないとねー、という昨日の話にもつながるんだけど、こういう景気対策があってもいいかもという小ネタをひとつ。

「事業撤退・縮小助成金および抵当権等整理支援制度」

企業の設備投資を促す制度はすでにいろいろあるし、景気対策としても行われるものがあります。産業再生とか構造改善とか、経済産業省あたりにそんなような制度もあるようですが、いずれも「新しい力」への投資を支援する仕組みだと思います。

で、この「ネタ」は180度反対に、「事業を辞め損ねている企業、業務について、速やかに市場からの撤退を促す」制度です。

企業の内部でいろいろな動きを見ていると、新製品や異分野進出、既存商品の増産など「未来への投資」というのはリスクがあってもGoになりやすい。「失敗を恐れてはいかん」「チャレンジ精神は重要だ」みたいなノリが、経営者(大企業でも役員会とかの上層部)にだいたいあるわけです。

ところが、いざ「事業を撤退する」という決断って・・・意外にずるずるして、ニッチもサッチもいかなくなるまで縮小しつつも完全撤退は引き延ばしちゃう。

未来への投資の時に、「失敗のリスクはしょうがない」といっても、その時点では何も「失敗」は発生していないので、その投資を決定した経営層はその時点で責任問われない。むしろ何も投資をしないと株主とかに怒られるのかな?

しかし、何年かたって、実際に「失敗」が明らかになったとき、その事業の責任者としたら「撤退決定」とは、自分がその事業を軌道に乗せられなかったという責任を取ることとセットみたいなもんだし、企業にとっても「後始末」のための支出というのはどうにも格好が悪いし、「何も価値を産む可能性がない単なる費用」なわけですね。販売費や研究開発費が「未来の価値を産む可能性を持っている費用」であるのと対照的です。

それは中堅~大企業の例かもしれないけど、一方で個人経営~小規模の企業でも、事業を開始したときに自分の家とか、工場の敷地を担保に銀行から金を借りていると、事業を「止める」のはほとんど不可能。雇用しちゃった人たちの行く末とかも大企業よりシビアな問題だろうし。かといって劇的に事業拡大のチャンスにたっている小規模企業なんてほとんどないでしょう。

その結果、長年にわたって「生産性がよくない」「市場ニーズにあっていない」設備、商品、企業というものが蓄積されているような気がします。

経済学として、中学生(?)くらいで習う基礎の基礎、「需要と供給」って話で、「需要が増えれば価格が上がる」「価格が上がれば供給者が増える」「需要が減れば価格が下がる」「価格が下がれば供給者が減る」という感じで需要と供給と価格のバランスが取れるんだよーみたいな話がありますが、前述のように企業の行動原理が「参入に前向き、撤退に後ろ向き」であるとするならば、供給増と供給減というのは、なんと言うか「発生のしやすさが非対称」なんですよ。

ある物体に、右から力をかけて移動させる。同じ力を左からかけたら元の位置に戻る

というのと違って、供給増には容易に振れるけど供給減には振れずらい。

昔、少し経済学をかじったことがありますが、経済学もすっかり数学の世界になっているので、 +1 と -1 は「重みが違う」っていう概念はないんじゃないかと思います。でも、現実の社会を見ると確実に重みが違うんです。

で、長年に渡ってたまっている+と-のひずみを調整するような政策が出せないものかと。

ジャンプするには身をかがめる必要があり、息を吸うには吐く必要がある。市場経済のダイナミズムを機能させるには、「縮小」をちゃんと機能させるべきじゃないかと。

例えば、古い工場を「放棄」するのではなく、全部撤去して更地にして、土壌汚染のクリーニングとかまでちゃんとやることを条件に費用を助成する。企業が倒産して放棄されたら、こうした部分の処理にも時間がかかりますが、ちゃんと処理するなら処理に関わる産業に対して需要創出効果もあり、キレイになった土地は再利用の道があるでしょう。

期限を切って小規模企業の抵当権の一定割合を公的に処理する仕組みもいいかもしれません(資本金として公的資金叩き込めるなら、そういう仕組みも可能ではないかと・・・)

モラルハザードはまずいけど、「過去に起業したことがある人」というのは基本的にチャレンジャー精神を持っているので、破産とか差し押さえとかで再起が困難になる前に救済することで、次の事業にまた取り組む可能性があります。そうすることで、市場ニーズに合わない企業が消え、次のニーズを切り開く企業に生まれ変わるかもしれない。民事再生法はそういう視点があるんですが、だいたい民事再生する時点で「手遅れ」のようで、その処理は結構いろいろ混乱を伴うみたいです。もっと早く、「公的資金注入」くらいのノリでバンバン処理できたほうがいいですね。

政治的なお題目として、「企業をつぶしやすくするための政策」っていうのは「ありえねー!」から実現の可能性はないでしょうけど、でも、たぶん「産業全体の再生」のためにはこういう政策が必要なんだと思います。

不景気になったときに、「企業をつぶさないために」公共事業やら地元企業品購入、というのは「直近だけをみれば美談な施策」ですが、それは「不景気では本来存続が難しいはずである脆弱な企業」を市場に留めてしまいます。

そうすると、景気回復局面になっても(雇用の話と同じで)「そもそも供給力が過剰」な状態なので、企業取引の単価上昇も、既存企業の増産投資も必要がない。

不景気な状態では、その状態にみあった供給力しかないように、脆弱な企業に対して「混乱なく」市場から退出できるように支援したらどうなるか?

景気が回復局面に入ると、「不景気な状態に適した供給力」しかない市場においては、増産投資が必要であったり、取引単価が上昇したり(その結果、新規参入者が現れたり)という動きで供給を確保する必要があります。本来あるべき「需要と供給と価格の調整」が、きちんと機能するわけです。

政治の世界では絶対受け入れられない。

経済学の世界では・・・どうなんでしょう?「+1と-1が非対称なんて認めたらあらゆる数学的論理が破綻するから認められない」とか?(^^;)

そして、かつてこんなことに挑んだ政府がないのであれば、結果も予断を許さない。

どう考えても「実現不可能」だけど、それでも「視点としては必要」なんじゃないかな・・・

2009年2月 3日 (火)

政治事情によるミスリードが景気を悪化させる

政治というのはそれなりに大きな権限があって、経済事情に干渉する力がある。

正しく政策が選択されれば景気には良い影響があり、間違うと景気には悪い影響がある。

それなりにいい大学を出て、たぶん「頭の中では」何をやるべきかわかっている政治家は少なくないのだろうと思う。しかし、政治力は「選挙」という「大衆の数の力」に依存するために、正しい選択がされないこともある。

今の「景気対策」にはそういった側面が漂っている。

例えば「企業は雇用維持に努力せよ。内部留保が厚いのに人員整理するな。」

「雇用保険の積立金は膨大であって、昨年の秋から40万人失業して、1ヶ月20万、つまり1ヶ月に800億取り崩しても3年近く持つ」つまり、すみやかに行政的な措置を取る(加入期間がうんたらというのは、それこそ超法規的に政治処理できる話だ)ことで、想定される失業者の生活の多くの部分を支えられるので、必ずしもこの要求は財政的に必須ではない。

現実に企業が内部留保を取り崩しながら、赤字の中で雇用を維持したらどうなるか?

「労働者は安心して消費が増える」・・・ありえないってば。

企業の懐事情はみんなわかっている。内部留保が減るにしたがってやっぱり人員整理の必要が高まることを知っている。だから、企業が払った給与は、従来以上に「貯蓄」に周って消費刺激効果はありません。

内部留保をそんな風に無意味に磨耗させたら、景気回復への反転局面で投資余力がなくなって、ちっとも景気が回復しなくなるし、もともと「余剰な人員」を無理して抱えているから、景気が回復しはじめても労働力は不足せず、新規雇用も給与上昇も発生しない。すると景気回復のピッチがちっとも上がらない。

もちろん、人員整理して内部留保はためたままにしろというわけではない。

「雇用維持するくらいなら、同額を投資に回せ」である。投資といっても金融的にではなく、実経済へ。「景気後退してるのに投資かよ」と思うかもしれないが、投資というのは増産投資ばかりではない。エネルギーの消費効率を改善する、事務所や工場を集約するなど、むしろ景気拡大時に「増産投資」が優先していて追いついていない部分の投資はチャンスのはず。

また、増産のための新工場投資も止めるべきでない。「どうすんだよ?」既存工場の廃棄・再構築投資を同時に行えばいい。

今、10000の生産能力がある。

2000UPの新工場に着手した。その工場はエネルギー効率や生産設備の良さから、完成すれば従来よりも競争力が高い工場になるはずだった。

その工場を中止して、「現在の生産効率」で10000の生産能力を維持するのと、その工場は作ってしまって、かわりに「現在の生産効率」である生産能力を2000減らす。結果的に生産能力は10000のままだけど、生産性は向上する。

ヤクルトが国内工場を統合する話がありましたが、それに近いですね。

上記のような行動をすると、既存設備の廃棄のために、さらに費用がかかりますが、そういうことにこそ内部留保を少しあてて欲しい。既存設備廃棄も含めて工場等への投資は、関連産業に需要をもたらします。例えば、同じ100億の内部留保を取り崩すのに、雇用維持に使ってもその多くは貯蓄されてしまうし、それで守られる雇用はその企業の社員だけです。しかし100億の設備投資は実体経済に需要をもたらすので、関連産業の社員の雇用を結果的に守ることになり、雇用面の効果と需要創出の両面で有効です。

つまり「需要拡大のための金は、できるだけ上流へ落とす」のが鉄則のはずなのに「雇用維持」???・・・というのが「内部留保で雇用維持」というミスリードですが、他の話を含めて「景気対策」をしたいなら、ずばり

「金持ちを優遇するように諸制度を改正するのが正解」

です。金持ち(内部留保を持つ企業を含めて)は、金に敏感だから、余裕が生まれればそこからさらに「得をする」ためにお金を動かすんです。金持ちでない人に、若干の余裕が出るようにしても、生活が厳しい人ほど慎重に貯金をするから、効果はないです。

そもそも今の不況、サブプライム問題はもう2007年の夏くらいから話題になっていたけど、その時点では経済にほとんど影響がなかった。なぜなら、その時点で「金持ち」の懐には影響がなかったから。でもって、リーマンショックとかの影響で「金持ち」の懐が痛んだとたんにガタガタになった。経済の山谷は金持ちの行動が大きく影響するんですよ、やっぱり。

セーフティネットで最低限の生活を保証しつつ、金持ちにどんどん金を使ってもらうのが、「景気対策としては正解」と「理解している」政治家は、たぶん少なくない。

でも、「政治は選挙に依存する」「選挙は世論に依存する」「世論は判官びいきなほうがウケがいい」ので、「金持ち優遇の制度改正」ってのは政治家は言い出しづらいんじゃないか?

中長期的にどんな層をどのように処するべきかはバランスが大事だけど、短期決戦の景気対策は「金持ちが思わずいろいろ金を動かしたくなるような政策」のほうが結局早く広く効果が出ると思いますよ。

2009年2月 1日 (日)

「未成年のサイト経由出会い」対策としての携帯規制もろもろ

【記事1】児童買春 一般サイトきっかけの被害倍増 出会い系抜く  byAsahi.com

なんていう中で、この週末にかけていくつかの動きがありましたね。

(以下の記事は基本的に InternetWatch)

まず、【記事2】NTTドコモ、18歳未満のユーザーにフィルタリング自動適用を開始

・・・が合わせて読むと一瞬混乱するのが【記事3】NTTドコモが保護者に訴える、フィルタリングの必要性

【記事3】の中盤で、「携帯電話を契約するときは保護者名で」と呼びかけていて、一方で【記事2】で自動フィルタの対象になるのは契約者が18才未満の場合だから、保護者名で契約していると自動適用されません(^-^;

まぁ、保護者を含む全契約者にフィルタリング適用の推奨はしている、とのことですが、微妙にチグハグですねー。

ちなみに、適用されたフィルタは18才以上になっても自動的に解除されません!

18才になったら忘れずに手続きしましょう(笑)

で、【記事2】と歩調を合わせるように・・・っていうか絶対「間に合わせた」んだろうな。

【記事4】 「mixi」も“健全サイト”認定、携帯フィルタリングから除外へ

・・・しかし、確かドコモは「ホワイトリスト」方式だったような。ブラックリストから除外されてもすぐにmixiがフィルタの対象外になるのか微妙・・・だけど、目いっぱいの折衝力を発動して交渉する(した?)んだろうね。

これが遅れるとすでに認定されているGREEとかモバゲーとの競争上極めて不利になる、というのはもちらん、もっとヤバイ問題があったわけですから。

「ヤバイ問題って何?」という人もいるかもしれませんね。

mixiは、2008年12月10日まで「18才未満利用禁止」だったし、今でも15才未満は利用禁止なんです。 【建前としては!】

でも、利用者率が高いと言われる首都圏では、高校生なら3割から5割強、中学生でも2割以上はmixi使ってるらしい、ってのはある意味、常識なんです。

そして、そういう利用者はmixiのトラフィック上、無視できない規模になっている。でもmixiとしては18才未満の利用者はいないことになっている。

そこで18才未満フィルタでmixiが外されると何が起きるか?

「トラフィックの激減」ですね。mixiはネットベンチャーのご多聞にもれず、事業成長のPRや広告獲得のために、決算発表などのたびにトラフィック量をアピールしています。

それが「18才未満フィルター」によって「激減」したら、社会的に説明つかんのですよ。

(´Д`;≡;´Д`)アワアワ

一方、すでにある意味「自爆」というか2008年12月10日から15才以上まで解禁しました・・・さぁトラフィックは劇的に増えるんでしょうか ( ̄ー ̄)ニヤリ

「従来からの伸びを維持しました」じゃまずいよねー>mixi。

・・・さて、そしてさらに「出会い系」の本体についても

【記事5】出会い系サイト423事業者が届け出、改正規制法施行1カ月で

ということで、記事下からリンクされている警察庁の解説を見ると2月1日から「本人確認の厳格化」があるわけです。

これについては、その手のサイトの動きを見ると「非常にわけわからん」状況になっています。それはまたそのうちに書きますが、

「これから出会い系サイトを開くなら東京じゃなくて福岡に本社おいとけ!」

です・・・?

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