« 経済の再失速への時限爆弾となった「過度の景気回復期待」 | トップページ | エヴァンゲリオン実現への重要な一歩・・・か? »

2009年6月17日 (水)

郵便不正の証明書発行は本当に有罪なのか?

※私は日常の文では「障がい者」と書きますが、本記事では他記事や法令等単語との一致を優先して「障害者」と書きます。ご了承ください。

自称・障害者団体「凛の会」(現・白山会)の郵便割引制度の悪用に絡んで、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長(すでに前局長?)の村木厚子氏と、障害保健福祉部企画課係長の上村勉氏が逮捕された、という事件。

しかし、いくつかの記事を読めば読むほど、「純粋に法律理論として、これは刑事事件として有罪になるのか?」という疑問を強く感じるようになった。

まず、一寸の虫に五寸釘というブログのこの記事 をチェックしてください。

そうすると、例えば asahi.comのこの記事 において、

・・・村木厚子容疑者(53)を虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで逮捕・・・(中略)・・・証明書発行のための決裁文書を偽造した同容疑で逮捕していた元部下で・・・

という文脈は正確ではないことがわかります。決裁文書を「偽造」したなら、虚偽有印公文書作成のほうではなく、公文書偽造のほうの罪であるはず

このあたりは、大阪地検もさすがに専門的にわかっていて、かつ収集している証拠から見ても「偽造」じゃなく「虚偽」でないと起訴できない、ということなのでしょう。

が、さらに踏み込んで考えていると、果たして発行された証明書は「虚偽」なのか?という部分すら怪しいと感じるようになりました。

虚偽ってのは、平たくいえばウソである。

例えば、「厚生労働省は平成21年6月16日をもって、財務省と国土交通省に分割吸収合併されることになりました」っていう文書を、企画課長の公印ついて作ったら、どうやったって虚偽であろう(笑)

でも今回の件はそうではないように思う。

以下の意見は、「そもそも問題の証明書は、障害保健福祉部の企画課が課長決裁・押印で発行するものである」ということを大前提にしているので、「証明書の発行責任者は局長だよー」とかいう話であれば根本的に間違ってます(^^;・・・が、どうもいろいろな記事を見るとたぶん前提は正しいですよね?>ツッコミ希望

本題ですが!

1)そもそも、この課長が証明書を発行する権限者であるということは、「【凛の会】は、郵便割引を利用する資格がある害者団体であると、企画課長として判断・決定しました」という行為そのものは、ナニも問題ない

2)本来は必要なはずの「資料の提出を受けて審査する」手続きをしなかった、とされているが、それが事実だったとしても「事務手続きにかかる内規違反」にすぎないのではないか?つまり、「戒告」とか、そういう処分の対象にはなりえるとしても、決裁・発行権者が「これでOK」と判断したなら、それは「虚偽」とはいえないのでは?

3)発行日付が実際の証明書交付よりも前にさかのぼっているのが問題か?これもNoだろう。「好ましくない」かもしれないが、「実は5月の時点でOKだと認定はしていたんだよ~、紙渡すのが遅れちゃったけど」っていう論理は違法じゃなかろうし、虚偽とも偽造ともいえないだろう。

4)例えば、お金の支出とかだと、担当の課長の他に会計課?とかも審査・押印する仕組みがある(ちゃんと内容見てるかどうかは別 ^^;)はずで、そういう「他の部門」を巻き込んで決裁への押印を強要したとなれば、虚偽どころか偽造の域だろう。しかし、「証明書」なんてものを、問題となった企画課以外の課で「牽制的に審査する仕組み」があったのだろうか?もしもそういう仕組み自体がなく、企画課長がOK出せば証明書が成立する、なんて事務をやっていたとしたら厚生労働省は大問題であるが、どうも、報道などを見る限り「そういう大問題な事務体制だった=企画課以外は証明に関与していなかった」のではないか?そうなると、ますます「俺がOKったらOKなんだよ!そういう権限持ってるんだよ!」って課長が開きなおったら「虚偽の文書」とはいえないのでは?

5)おまけに、勝手に証明書出すんじゃなくてわざわざ部下に決裁を起案させてる。決裁権者が決裁起案を要求すること自体は違法じゃない。そして決裁とセットで証明書を出したのであれば、それは事務手続きとしては「ちゃんと成立」していることになる。

6)しかも、作ったのは「証明」というか、つまりは「認定」である。証明書の内容に、「【凛の会】の実態とは「明確に異なること」を書いた」のであれば虚偽かもしれない。例えば「この会は、xx万人の障害者を支援している」「xxxという表彰履歴もある」「xxxの全国組織でxxxという認定を取得している」とかいう「証明の根拠」として虚偽がいっぱい書いてあって、「以上の事実に基づいて、郵便割引を受ける資格を持っていると証明(認定)する」という文書であるならば、それは虚偽文書かもしれない。でも、おそらく証明書って、文書のタイトルがあって、「【凛の会】は、郵便割引を受ける資格を有する団体であることを証明する」くらいしか書いてないんじゃない?企画課長が「私が、証明します」って公印付いても、虚偽はどこにもない。

・・・・うーん???

でもって、結構ナゾなのは取り調べに対して村木容疑者は「容疑を否認している」のは確かだけど、いくつかの新聞の「関与を否定している」「事実関係を否定している」っていう報道が本当に正確なのか?ということ。

逮捕の前に、村木容疑者は「任意の取り調べ」を受けている。その上で逮捕に踏み切ったのだから、「関与を否定してる」ってことはないんじゃないの?つまり、もともと「容疑を否認している」だけなのに、「関与を否定」とか「事実関係を否定」と類推しただけなんじゃないかという気もする。

村木容疑者が、事実関係を全部認めた上で「私が、【凛の会】を認定したというのは事実であって、それを記載して押印した証明書は虚偽の文書ではないから、容疑は認めない」と主張している可能性もあるのでは・・・・

国会議員に頼まれたことは問題か?・・・これも違法じゃないだろう。誰かに頼まれて現金もらったら贈収賄だけど、報酬なしでやったのなら「倫理的には問題あるけど合法」だろ。

・・・うーん。問題の証明書は「文書として虚偽」であると断定する法的な根拠って何でしょうね

例えば、本当に裁判で「虚偽文書とはいえない」となったとしたら、村木厚子氏には省内処分以外にペナルティを問えないかというと、そんなことはない。

いいかげんな審査で証明書を出されたことによって、郵便事業会社は損害をこうむった(そこまでグルって話もあるようですが(笑))ので、村木氏に対して損害賠償の民事訴訟をすれば、100%村木の敗訴でしょう。もしかすると訴える相手は厚生労働省かもしれませんが、その場合も厚生労働省が敗訴して、その連鎖で厚生労働省が村木氏を訴えるでしょう。

つまり、この件で報道されている内容が事実であるならば、民事訴訟で責任追及はできる のです。

しかし、「犯罪者」として刑事的に有罪にできるのか?というのは・・・どうなんでしょう?

« 経済の再失速への時限爆弾となった「過度の景気回復期待」 | トップページ | エヴァンゲリオン実現への重要な一歩・・・か? »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

結局ところ、前課長村木氏はキャリア組の嫉妬心から恨みを買い揚げ足を取られ、検察は前課長なんか眼中に無く、上司であった元部長と民主党国会議員の関係を汚職事件として祭り上げたかったが、裁判所が捜査の主旨が違うと元上司の拘留延長を短縮したことにより検察の捜査は行き詰まり、第二の国策捜査は空振りに終る公算が大きくなったようです。検察も官僚に違いなく学閥とかキャリア組としての面子を優先し同時に官政改革で官僚の立場が軽くなるのを嫌って手懐けた自民党と結託したというのが真相かも知れませんね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1097817/30156230

この記事へのトラックバック一覧です: 郵便不正の証明書発行は本当に有罪なのか?:

» 村木厚子 大学 [youtube動画★新着ニュースblog]
郵便不正の証明書発行は本当に有罪なのか?の村木厚子氏と、障害保健福祉部企画課係長の上村勉氏が逮捕された、という事件。 しかし、いくつかの記事を読めば読むほど、「純粋に法律理論として、これは刑事事件として有罪になるのか?」という疑問を強く感じるようになった。 ...(続きを読む) 【厚労省】元部長宅を家宅捜索…大阪地検特捜部元部長は、14日に逮捕された厚労省雇用均等・児童家庭局長の村木厚子容疑者(53)に、 「凛の会」の承認に関する指示をしたとされている。 捜査関係者によると、元部長は当時、団体の... [続きを読む]

« 経済の再失速への時限爆弾となった「過度の景気回復期待」 | トップページ | エヴァンゲリオン実現への重要な一歩・・・か? »